6月30日(日) 礼拝メッセージ要旨
「荒野の全行程を覚えて」 申命記8章1~10節
イスラエルの民は、歴史に生きる民族です。そのため、いつも彼らの歴史を想起し、その記憶を大切にしてきました。そのことは神の民として生きるための、最も大切なものを育ててきました。イスラエルの民にとって、歴史を想起するということは、イエスラエルの民に対して、神が果たして下さった神のみ業、出来ごとを具体的に回顧することでした。本日の聖書箇所において、イエスラエルの民は、ヨルダン河を渡って、約束の地カナンに入るに際して、この40年の間の民の歩んだ歴史を想起することを求められております。「あなたの神、主が、この40年の間、荒野であなたを歩ませられた全行程を覚えていなければならない。」(申命記8:2)その行程とは「あなたを苦しめて、あなたを試み」(申命記8:2)飢えさせた、荒野のつらい旅のことです。その苦しかった時のことを想い出しなさいとモーセは語るのです。「エジプト脱出」という解放の出来事、喜ばしい救いの出来事を想い起こすのではないのです。そこには過去の神の恵み、守り、支え、導きを正しい意味において理解し、忘れないでほしいと願う、モーセの思いが込められております。想起し回顧という時、それはただ単に古き良き時代をなつかしんで想い出すのではありません。祝福され恵まれたことだけを言っているのではありません。過去の苦しみ、悲しみ、疑いと不安な出来事も想い起こさなければならないのです。それが出来る時、本当の神の恵みが何であるかが分かるのです。「この40年の間、あなたの着物はすれ切れず、あなたの足は、はれなかった。」(申命記8:4)という神の真実とみ守りがわかるのです。 中部中回設立40年を迎えた本日の記念礼拝に於いて、イスラエルの民がそうであったように、私たちも今までの中部中会の歩みの全行程を覚え、そこに顕された神の出来事を想起することこそ、本日の記念礼拝に最もふさわしい守り方であることを覚えましょう。