礼拝メッセージ

8月11日(日) 礼拝メッセージ要旨

 

「夢みる勇気―68年目の敗戦の夏に」

8月は想い起こす月です。1941年12月8日と1945年8月15日、先のアジア太平洋戦争の、始まりとその終わりを想い起こす月です。そして荒廃した国土の中から生まれた、「積極的非暴力平和主義」をその中心に置いた「日本国憲法」を想い起こす月でもあります。先の戦争で被害者、加害者を問わず、すべての犠牲者の落とされた尊いいのちによって成り立っている「日本国憲法」。その憲法のもとで、戦争をしてこなかった現実を想い起こす月であります。さらにあの長崎に投下された原子爆弾によって夫人を失い、自分も原爆症で幼い子供二人を残して召された永井隆博士の残された「いとし子」たちにあてて書かれた遺言のような言葉を想い起こす月でもあります。                                                           

私たち日本国民は憲法において戦争をしないことに決めた。憲法の第二章は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と決めている。どんな事があっても戦争をしないというのである。わが子よ。憲法で決めるだけなら、どんなことでも決められる。憲法はその条文どおり実行しなければならぬから、日本人としてなかなか難しいところがあるのだ。どんなに難しくても、これは善い憲法だから、実行せねばならぬ。自分が実行するだけでなく、これを破ろうとする力を防がねばならぬ。これこそ戦争の惨禍に目覚めたほんとうの日本人の声なのだよ。しかし理屈は何とでもつき、世論はどちらへでもなびくものである。日本をめぐる国際情勢次第では、日本人の中から、憲法を改めて、戦争放棄の条項を削れ、と叫ぶ者が出ないとも限らない。そしてその叫びがいかにも、もっともらしい理屈をつけて、世論を日本再武装に引きつけるかもしれない。そのときこそ、誠一よ、カヤノよ、たとい最後の二人となっても、どんな罵りや暴力を受けても、きっぱりと「戦争絶対反対」を叫び続け、叫び通しておくれ!たとい卑怯者とさげすまれ、裏切り者とたたかれても「戦争絶対反対」の叫びを守っておくれ!」      (永井隆著 「いとし子よ」より)                                                                          68年目の敗戦の夏を迎え、永井隆博士の心配が現実のものとなりつつある時、この永井隆博士の言葉を私たちへの遺言として受け止め、その意味を深く考える8月でありたい。

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